【背景・目的】
水産資源管理や流通現場において魚体重量の迅速かつ高精度な推定は重要であり,現在は尾叉長を用いた推定手法が広く用いられている。
しかし,尾叉長のみを指標とした場合,魚体の肥満度や個体差を十分に反映できない可能性がある。
一方,近年の画像計測技術の発展により,魚体画像から得られる面積情報を重量推定に利用する可能性が考えられている。
本研究では,冷凍カツオを対象として,従来指標である尾叉長と画像面積を用いた重量推定精度を比較し,将来的な水揚げ現場での適用を見据え,面積指標の有効性を検証することを目的とした。
【材料・方法】
試料には冷凍カツオ300匹を用い,専用の計測機により魚体重量,尾叉長および魚体画像を取得した。
画像は一定条件下で撮影し,SAM(Segment Anything Model:画像中の対象物領域を自動抽出する画像分割手法)を用いることでピクセル数から魚体面積を算出した。
得られた面積および尾叉長と実測重量との関係についてそれぞれ回帰分析を行い,近似式および決定係数を算出した。
両指標の推定精度は決定係数を用いて定量的に比較した。
【結果・考察】
重量と画像面積の関係では決定係数0.98を示し,尾叉長と重量の関係における決定係数0.96を上回った。
この結果から,冷凍カツオの重量推定においては,尾叉長指標よりも画像面積指標の方が高い推定精度を有することが示された。
面積指標は魚体全体の体高や体幅を含む形状情報を反映できるため,個体差の影響を受けにくいと考えられる。
本研究の結果は,画像計測に基づく重量推定手法が実用的である可能性を示しており,今後は実際の水揚げ現場データを用いた検証により,現場適用性のさらなる評価が求められる。